Tree of Thoughtsとは?AIに3つの視点から考えさせるプロンプト術

AI情報まとめ

AIにアイデアを出してもらうと、毎回似たような方向の答えが返ってくる、と感じたことはありませんか。

「〇〇学の課題レポートのテーマを考えて」と頼んでも、どこかで見たことがあるような切り口ばかり。「別の角度からも考えて」と続けると少し変わるけど、根本的にはそれほど変わらない。

これはAIが「最初に思いついた方向」で答えを出し切ってしまうことが原因の一つです。人間が「A案もB案もC案もあるな……」と広げてから絞り込むプロセスを、AIは意識的に指定しないとやってくれません。

Tree of Thoughts(ToT)は、そのプロセスをプロンプトで明示する型です。

Tree of Thoughts(ToT)とは?

Tree of Thoughts(ToT)は、一言でいうと「複数のアプローチを枝として展開させて、AIに最善手を選ばせる」考え方です。

わかりやすいたとえでいうと、将棋で「この局面から指せる手をいくつか考えて、それぞれの先を読んでから一番いい手を選ぶ」というプロセスに近いです。AIが1本道で答えを出すのではなく、いくつかの方向に考えを広げてから収束させます。

  1. 考えられるアプローチを3本の「枝」として展開する
  2. 各枝の強みと弱みを評価する
  3. 最も筋のよい枝を1つ選び、そこだけ深掘りして最終回答を出す

元になった研究について

Tree of Thoughts は Yao et al. が2023年に発表した手法です。複数の推論経路を探索・評価しながら問題を解くフレームワークとして提案されており、論理パズルや数学的推論のタスクで検証されています。この記事ではその考え方をブログ執筆やアイデア出しに応用する形で紹介します。

📎 Yao, Yu, Zhao et al., “Tree of Thoughts: Deliberate Problem Solving with Large Language Models”, NeurIPS 2023
 https://arxiv.org/abs/2305.10601

なぜ効くのか

①最初の直感に引きずられにくくなる
AIは通常、最初に「これが答えだ」という方向を決めて、そこに向かって出力します。複数の枝を強制的に展開させることで、その最初の直感から外れた視点が出やすくなります。

②評価のステップを挟むことで、深掘りが的外れになりにくい
「3つ出して、そのまま全部深掘り」だと、方向性の弱い枝に時間を使ってしまいます。強みと弱みを評価してから1つに絞ることで、最終的な出力の密度が上がります。

コピペOKプロンプト

以下をそのままコピーして、末尾の「[   ]」にお題を入れてください。

以下のお題に対し、次の手順で回答してください。
①考えられるアプローチを3本の枝として全部展開する
②各枝の強みと弱みを評価する
③最も筋のいい枝を1つ選び、その枝だけを深掘りした最終回答を出す。
お題:[   ]

3本の枝として全部展開する」という数の指定がポイントです。「いくつか考えて」だけだと、AIが無意識に1〜2方向に絞ってしまうことがあります。枝の数は3〜5本が現実的です。

実践例:before / after

情報ラボ365のブログをSNSで広める方法」というお題で試してみました。

🔴 before:普通のプロンプト

「情報ラボ365というブログをSNSで広める方法を教えてください。」

→ 返ってきた出力は、「Twitterで定期的に投稿する」「ハッシュタグを活用する」「他のブロガーと交流する」というSNS活用の一般論でした。間違いではないですが、このブログ特有の強みや状況は何も考慮されていませんでした。

🟢 after:Tree of Thoughtsを使ったプロンプト

以下のお題に対し、3ステップで回答してください。
①アプローチを3本の枝として展開 
②各枝の強みと弱みを評価
③最も筋のいい枝を1つ選んで深掘りした最終回答を出す。
お題:情報ラボ365(AIプロンプト技術を扱う大学生ブロガーのブログ)を
   SNSで広める方法

→ 3本の枝として展開され、評価ステップで各枝の強弱が整理された後、「大学生ブロガー」という属性を活かした方向性が最終回答として出てきました。最初の普通のプロンプトでは出てこなかった切り口でした。

使いどころと注意点

✅ こんな場面で使う

  • ブログ記事の切り口を複数考えたいとき
  • 「どのアプローチで進めるか」を迷っている戦略立案
  • アイデア出しで毎回同じ方向になってしまうと感じるとき

❌ これには向いていない

  • 答えが1つに決まっている調査・事実確認系のタスク
  • 短文の生成やフォーマットが決まっている作業

🔧 上級者向け:枝の評価基準を指定する

ここは応用の話なので、読み飛ばしてOKです。

②「各枝の強みと弱みを評価する」のところに評価基準を追加すると精度が上がります。

②各枝を「実現のしやすさ・差別化のしやすさ・継続性」の3軸で評価する

評価軸を指定すると、自分の状況に合った枝が選ばれやすくなります。軸はタスクに合わせて変えてください。

まとめ

  • Tree of Thoughts は「複数の枝を展開→評価→1つに絞る」プロンプトの型
  • アイデア出しや戦略立案で、いつもと違う切り口が出やすくなる
  • コピペしてお題を変えるだけで使える

アイデアがワンパターンになっていると感じたとき、まず1回試してみてください。枝の展開ステップを読むだけでも、自分が見落としていた方向性が見えてきます。

⚠️ この記事の情報は執筆時点(2026年6月)の内容です。AIツールの仕様・挙動はアップデートで変わることがあります。最終確認は各サービスの公式サイトや一次情報でお願いします。

📎 引用・参考

・Yao et al. (2023) “Tree of Thoughts: Deliberate Problem Solving with Large Language Models”, NeurIPS 2023
 https://arxiv.org/abs/2305.10601

次回予告

次回は「Skeleton-of-Thought(SoT)」を紹介します。長文を書かせるときに、先に骨組みだけ作ってから肉付けさせる型です。記事や提案書づくりで後半が失速するのを防げます。

👉Skeleton-of-Thoughtとは?先に骨組みを作って長文の質を安定させるプロンプト術

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