Claude Codeを使い始めると、すぐこの面倒に気づきます。「新しいセッションを開くたび、同じルールをまた説明している」。
ファイルの命名ルール、触ってほしくないフォルダ、出力の形式。AIは会話が変わればすべて忘れます。第20話で「仕様書を毎回貼る」運用を紹介しましたが、Claude Codeにはそれすら不要にする素晴らしい公式の仕組みがあります。
それが CLAUDE.md。プロジェクトフォルダに置いておくだけで、毎セッション自動で読み込まれる設定ファイルです。
CLAUDE.mdとは?
CLAUDE.mdは、プロジェクトの恒久的なルール・前提・約束ごとを書いておくMarkdownファイルです。プロジェクトのフォルダ直下に置くと、Claude Codeがセッション開始時に自動で読み込み、その内容を前提として動いてくれます。
たとえると、新しく来た人のデスクに置いてある「このチームのしおり」です。毎朝口頭でルールを説明しなくても、しおりを読めば約束ごとがわかる。説明の手間が「毎回」から「最初の1回」に変わります。
置き場所によって効く範囲が変わるのも特徴です。プロジェクトフォルダに置けばそのプロジェクト専用、ホームディレクトリ側(~/.claude/CLAUDE.md)に置けば自分の全プロジェクト共通の好みとして機能します。「個人の好みはホーム側、プロジェクトの決まりはプロジェクト側」という2階建てで使い分けます。
📎 Claude Code公式ドキュメント:How Claude remembers your project
https://code.claude.com/docs/en/memory
なぜ効くのか
①「毎回の説明」がゼロになり、説明漏れも消える
口頭(プロンプト)での説明は、言い忘れた日のセッションだけルールが抜けます。ファイルなら読み込みは自動で、漏れなし。ルールの安定供給が仕組み化されます。
②ルールの置き場所が1つになり、育てられる
「あのルール、どの会話で言ったっけ」問題が消えます。新しい約束ごとが増えたらCLAUDE.mdに1行足すだけ。第28話のプレイブックのClaude Code版として、使うほど賢くなるファイルに育ちます。
コピペOKテンプレート
プロジェクトフォルダに「CLAUDE.md」という名前でこんなファイルを作ります(内容は自分の用途に書き換えてください)。
# このプロジェクトについて
(1〜2行で目的を書く)
# ルール
- (守ってほしいことを箇条書きで)
- (「〜を適切に」ではなく「〜は必ずXX形式で」のように具体的に)
# 触らないでほしいもの
- (対象外のフォルダ・ファイル)
# 作業の進め方
- 大きな変更の前は計画を先に見せる
公式のベストプラクティスは「具体的に・簡潔に」です。「きれいに整理して」のような曖昧な指示より「ファイル名はYYYY-MM形式で」のような具体的な指示の方が確実に守られます。また、長い手順書をここに詰め込まないこと。CLAUDE.mdは「毎セッション必要な事実」だけに絞り、詳細な手順は別ファイルにするのがコツです。
実践例:before / after
「毎月の家計簿CSVを集計するプロジェクトフォルダ」で試してみました。銀行やカード会社からダウンロードしたCSVを毎月Claude Codeで集計している、という運用です。
🔴 before:毎回説明していた頃
毎月のセッションで「CSVの文字コードはShift-JISだから注意して」「集計は費目別で、結果はresultsフォルダに月別で保存して」「rawフォルダの元データは絶対に変更しないで」と説明していました。ある月、文字コードの説明を忘れて集計結果が文字化けし、ある月は元データのフォルダに出力ファイルが混ざりました。説明の質が、その日の記憶力に依存していたわけです。
🟢 after:CLAUDE.mdを置いた場合
# このプロジェクトについて
毎月の家計簿CSV(銀行・カード明細)を集計するプロジェクト。
# ルール
- CSVの文字コードはShift-JIS。読み込み時に必ず考慮する
- 集計は費目別。結果は results/YYYY-MM.csv の形式で保存
- 金額の単位は円。小数点は使わない
# 触らないでほしいもの
- raw/ フォルダ内の元データは読み取り専用。変更・移動・削除禁止
# 作業の進め方
- 新しい形式のCSVが混ざっていたら、処理前に報告する
→ 以降のセッションは「今月分の集計をお願い」の一言で、文字コードも保存形式も元データ保護も全部守られた状態で作業が始まります。翌月、カード会社の明細形式が変わったときも、最後のルールが効いて「新形式のCSVを検出しました。列の構成が変わっています。マッピングを確認してください」と作業前に報告が上がりました。しおり1枚で、毎月の集計が「説明する作業」から「頼むだけの作業」に変わった形です。
使いどころと注意点
✅ CLAUDE.mdに書くべきこと
- 毎セッション必要になる事実(形式・命名・構成のルール)
- 「絶対にやらないでほしいこと」(保護対象の指定)
- 毎回説明していると気づいた内容(それがCLAUDE.md行きのサイン)
❌ 書かない方がいいこと
- 頻繁に変わる情報(今月の目標など。それはプロンプトで都度伝える)
- 長大な手順書(ファイルが太ると重要ルールが埋もれる)
大事な注意をひとつ。CLAUDE.mdは「文脈」であって「強制力のある設定」ではありません。公式ドキュメントにも、確実にブロックしたい操作は別の仕組み(フックや権限設定)を使うべきと明記されています。「絶対に消されては困るデータ」はCLAUDE.mdの一文だけに頼らず、バックアップや読み取り専用設定で物理的に守ってください。
🔧 上級者向け:育て方のコツ
ここは応用の話なので、読み飛ばしてOKです。
運用のコツは「失敗のたびに1行足し、矛盾する古い行を消す」です。作業ミスが起きたら、そのミスを防げたはずの最短の一文をCLAUDE.mdに追加する。Day 29の自己修正ループと同じ発想で、ファイルが失敗の数だけ賢くなります。逆に、1回の失敗にカッとなって細かいルールを大量に書き込むのは悪手です。ルールは「このプロジェクトの不変の約束」と言えるものだけに絞ってください。
まとめ
- CLAUDE.mdはプロジェクトフォルダに置くだけで毎セッション自動読み込みされるルールファイル
- 書くのは「毎セッション必要な事実」だけ。具体的に・簡潔に
- 強制力はないので、絶対に守りたいデータは物理的な保護もセットで
「また同じ説明してるな」と気づいたら、それがCLAUDE.mdを作るタイミングです。5分で書いた1枚のファイルが、以降のすべてのセッションで働き続けてくれます。
⚠️ この記事の情報は執筆時点(2026年6月)の内容です。Claude Codeの機能・仕様はアップデートで変わることがあります。最新の仕様は必ず公式ドキュメントで確認してください。
📎 引用・参考
・Claude Code公式ドキュメント “How Claude remembers your project”
https://code.claude.com/docs/en/memory
次回予告
次回は「サブエージェントと権限設計」を紹介します。Claude Codeの中に専門役の補助AIを定義して、それぞれに必要最小限の権限だけを渡す考え方です。
👉Claude Codeのサブエージェントとは?役割ごとに権限を絞る設計術

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