AIに文章を書いてもらったとき、「なんか平凡だな」と感じたことはありませんか。
内容は間違っていないし、読めないわけでもない。でも、なんとなくパッとしない。じゃあ「もっとよくして」と追加でお願いすると、表現が少し変わるだけで、根本的には変わらない。
この問題、実は「AIに何を直すべきかを伝えていない」ことが原因の場合が多いです。「よくして」だけでは、AIも何がよくないのかを自分で判断しきれません。
今回紹介する Self-Refine は、AIに「書く」「批評する」「書き直す」の3役を順番に演じさせることで、この問題を解決する考え方です。
Self-Refineとは?
Self-Refine は、一言でいうと「AIに自分の出力をフィードバックさせて、自分で改善させる」という手法です。
身近なたとえでいうと、文章を書いた後にいったん別の人として読み返して、問題点を箇条書きにして、それを踏まえて書き直す、という流れと同じです。これを1人でやるのではなく、AIに明示的にやらせます。
- 初稿を書く(生成役)
- 自分が書いた初稿を評価する(批評役)
- 評価を踏まえた改稿版を書く(改稿役)
元になった研究について
Self-Refine は Madaan et al. が2023年に発表した手法です。7種類のタスクで検証が行われており、1ステップで生成した場合と比べて出力品質が向上したと報告されています。
💡なぜ効くのか
①評価の観点を明示すると、批評が甘くならない
「自由に評価して」だけだと、AIの批評は表面的になりがちです。「説得力・独自性・論理性・読みやすさ・抜け漏れ」のように5つの観点を指定すると、それぞれの軸で評価が出るので、改稿の手がかりが具体的になります。
②役割を切り替えることで、視点が変わる
「生成した本人が見直す」だけだと見落としが起きやすいです。「今から批評役に切り替えてください」と明示することで、AIがいったん距離を置いた目線で出力を読み直せます。
コピペOKプロンプト
以下をそのままコピーして、末尾の「[ ]」にお題を入れてください。
以下のお題について、次の3ステップを1レスポンスで全部やってください。
①初稿を書く
②辛口編集者として、説得力・独自性・論理性・読みやすさ・抜け漏れの
5観点で採点する
③採点を踏まえた改稿版を書く。
お題:[ ]
「辛口編集者として」という役割の指定がポイントです。単に「評価して」と書くより批評が具体的になります。評価の5観点は、自分の用途に合わせて変えてもOKです。
実践例:before / after
「情報ラボ365の読者向けに、AIプロンプト術シリーズの紹介文を書く」というお題で試してみました。
🔴 before:普通のプロンプト
「情報ラボ365で始まるAIプロンプト技術シリーズの紹介文を書いてください。」
→ 返ってきた出力は、「このシリーズでは〜」「ぜひご覧ください」という型通りの文章でした。読めないわけではないですが、他のAI活用ブログと見分けがつかない内容でした。
🟢 after:Self-Refineを使ったプロンプト
以下のお題について、3ステップを1レスポンスで全部やってください。
①初稿を書く
②辛口編集者として5観点で採点
③採点を踏まえた改稿版を書く。
お題:情報ラボ365のAIプロンプト技術シリーズの紹介文
→ 初稿が出た後、批評ステップで「独自性が弱い。このブログを読む理由が書かれていない」「読者が誰かが不明」といった指摘が出ました。それを踏まえた改稿版では、対象読者と「何が変わるのか」が明示された紹介文に変わりました。
使いどころと注意点
✅ こんな場面で使う
- ブログ記事・紹介文・メールなど、文章の質を上げたいとき
- 「なんか平凡」と感じる出力をどう直すか迷ったとき
- 評価軸を自分で言語化したいとき(批評ステップが参考になる)
❌ これには向いていない
- 短い返答が欲しい場面(3ステップぶんの出力が返ってくる)
- 事実情報の正確性を上げたい場面(それはDay 1のCoVeが向いている)
🔧 上級者向け:複数回ループさせる
ここは応用の話なので、読み飛ばしてもOKです。
Self-Refine はもともと「繰り返し改善する」ことを前提にした手法です。③の出力をそのまま「お題」として同じプロンプトにもう一度通すと、さらに洗練されることがあります。ただし、2回目以降は改善幅が小さくなる傾向があります。
まとめ
- Self-Refine は「生成→批評→改稿」の3役をAIに演じさせる型
- 評価の5観点を明示すると批評が具体的になり、改稿の精度が上がる
- コピペしてお題を変えるだけで、文章系のタスク全般に使える
いつもの文章系タスクに1回使ってみてください。批評ステップを読むだけでも、自分のプロンプトの弱点が見えてきます。
⚠️ この記事の情報は執筆時点(2026年6月)の内容です。AIツールの仕様・挙動はアップデートで変わることがあります。最終確認は各サービスの公式サイトや一次情報でお願いします。
次回予告
次回は「Tree of Thoughts(ToT)」を紹介します。1本道で考えさせるのではなく、複数の方向性を枝として展開させてから最善手を選ぶ型です。アイデア出しや戦略立案で特に使えます。
👉 Tree of Thoughtsとは?AIに3つの視点から考えさせるプロンプト術


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